2017年8月18日 第46回放送 「再生可能エネルギーの余剰電力を有効活用、Power to Gas(パワートゥガス)」を分かり易く解説!

検索キーワードは「再生可能エネルギーの余剰電力を有効活用、パワートゥガス」

今回取り上げるニュースはこれ

NEDOのPower to Gas、3テーマの実証試験を開始 – エキサイトニュース

再エネから得た電力で水素を製造し、貯蔵や運搬に利用
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)は8月1日、同機構が推進するPower to Gasシステム構築において、3つのテーマの実証試験を開始すると発表した。

Power to Gasは水素の製造に再生可能エネルギーを用い、将来的にはプロセス全体を二酸化炭素排出ゼロで行うことを目指すエネルギー・システムだ。水素を媒体として電力を貯蔵するなど、電力系統の安定化や再生可能エネルギーの出力変動調整を行う。

実証試験は福島県浪江町、北海道稚内市、山梨県甲府市の3カ所で2017年度から2020年度まで実施される。

「Power to Gas(パワートゥガス)」という新しい再生可能エネルギーの活用方法の実証実験が始まるそうです。

あまり聞きなれない「Power to Gas(パワートゥガス)」についてご説明します。


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パワートゥガスとは?

水素にまつわる2つの誤解―水素エネルギーの可能性 | トヨタ自動車のクルマ情報サイト‐GAZOO

欧州では『パワー・トゥ・ガス』という考えがあります。再生可能エネルギーを水素にして使うやり方です。

「Power to Gas(パワートゥガス)」とは、再生可能エネルギーを水素にして貯蓄したり使用したりすることです。

なぜわざわざ水素に変換する必要があるのでしょうか?
再生可能エネルギーについて復習しましょう。


再生可能エネルギーの特徴について

再生可能エネルギーの安定供給: 再生可能エネルギーを安定供給したい | NEC

太陽光発電や風力発電に代表される再生可能エネルギーの拡大が進んでいます。しかし、太陽光発電や風力発電は気象条件によって大きく左右され、出力が安定しないという欠点があります。また、再生可能エネルギーの拡大に伴って、発電が需要を上回る場合には余剰電力の問題も生じます。

再生可能エネルギーは状況に影響されて発電量が増減します。

天気が悪い時の太陽光発電、風がふかない時の風力発電は発電量が減少します。
では、逆に天気がいい時、風が適度に強い時は、発電量が増えますね。

この時、発電量が需要を上回る場合があります。その時に「Power to Gas(パワートゥガス)」が必要になります。

そればなぜでしょう。


再生可能エネルギーの余剰電力について

【三橋貴明】再エネの正論 | 「新」経世済民新聞

ドイツでは、再エネ事業者が需要以上に発電してしまったとき、国内の大企業(製造業など)に電力会社側がお金を「支払って」電気を使ってもらっています。もう一度書きますが、余剰電気を処分するため、電力会社が大企業にお金を支払っているのです。

あるいは、欧州がグリッド(電力戦)で繋がっていることをいいことに、隣国(ポーランドなど)に余剰電気を流し込んでいたりします。電力サービスは「需要」と「供給」を常に一致させなければ成り立たないため、隣国としては物凄い迷惑です。

なんと!ドイツでは実際に、余剰電力を電力会社がお金を支払って使用者に使ってもらっています。
すごくもったいないと思いませんか!

この余剰電力を有効活用するのが、「Power to Gas(パワートゥガス)」です。


パワートゥガスのメリットは?

キーワード解説:余剰電力で水素ガスを作る「Power to Gas」 – スマートジャパン

「電力は貯められない」というのは昔の話である。今では蓄電池を使って、昼間に余った電力を夜間に利用することができる。電力会社では高低差のある2つのダムを組み合わせた「揚水発電」を利用して、余剰電力を水力エネルギーに変えて貯めておける。それでも電力が余ってしまう、だから再生可能エネルギーを急に増やさないでほしい、と電力会社は主張する。

 ならば水素がある。余った電力を使って水を電気分解すれば、水素ガスと酸素ガスを発生させることが可能だ。電力(パワー)からガスを作るので、欧米では「Power to Gas」と呼ぶ。

余剰電力は、蓄電池で貯めたり、ダムを使って貯めたりしています。

しかし、それでも余ってしまうときのために、「Power to Gas(パワートゥガス)」で余剰電力を使い水を電気分解し、水素と酸素を作り出します。


世界でのパワートゥガスは?

パワーツーガス (Power to Gas):株式会社日立総合計画研究所

ドイツ
温室効果ガス低減に向けて高い目標を掲げ、プレンツラウ風力水素プロジェクトやアウディe-gasプロジェクトなど9件以上の大規模パワーツーガスを実証しています

デンマーク
風力発電による余剰電力を水素に変換して貯蔵し、電力の不足時に燃料電池コジェネレーションを利用して電力と廃熱を一般住宅35世帯に供給する、ロラン島水素貯蔵プロジェクトを実行しています

米国
カリフォルニア州の燃料電池パートナーシップでは、2016年初頭までに68カ所の水素スタンド稼動を目標としており、一部で大規模太陽光発電による水素製造・供給設備を24時間稼動しています

「Power to Gas(パワートゥガス)」の先進国であるドイツや、デンマーク、アメリカなどで実際に動いていたり、実験段階だったりします。

ドイツでの「Power to Gas(パワートゥガス)」の実例をご紹介します。


パワートゥガスという効率的な貯蓄方法

余剰太陽光で水素生成、ドイツで「パワー・ツー・ガス」を実証 – 日経テクノロジーオンライン

 ドイツの電力大手であるRWE社は8月17日、高効率な「パワー・ツー・ガス(power-to-gas)」の実証設備の稼働を開始したと発表した。

 「パワー・ツー・ガス」とは、太陽光発電の余剰電力など再生可能エネルギー由来の電気を使い、水素やメタンなどを作る仕組みを指す。水素やメタンとして貯めることで、再エネの余剰電力を有効活用できる。
ドイツ西部にあるノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州のイッベンビューレン(Ibbenburen)に設置した。地域の電力や天然ガス、熱供給網と統合した、初めての設備になるという。

 実証では、太陽光発電と風力発電の余剰電力を使って、水から水素を作り、その水素を天然ガスの供給網において貯蔵する。

 水素は、その後、稼働率の高い電力生産に使われる。余剰電力を使って生成した水素を貯め、必要な時に取り出して電力に変える。

ドイツでは、太陽光発電と風力発電の余剰電力を使い水素を作り、その水素を貯蓄する「Power to Gas(パワートゥガス)」を稼働させています。

いいことづくめの「Power to Gas(パワートゥガス)」の課題はあるのでしょうか?


【コスト】パワートゥガスの課題は?

みずほ情報総研 : Power to Gasが変える未来

最大の課題はコストである。現状ではPower to Gas設備のシステムコストは高く、また電力源として用いる再生可能エネルギーの発電コストも高いため、Power to Gasによって作られた水素やメタンは、非常に高価なものとなってしまう。

また、コストダウンに加え、水電解装置についてはモジュールの大規模化(MW級)や再生可能エネルギーの出力変動に対する負荷追従性の向上等、新たな技術開発の余地がある。

まずは、コスト面の課題が多く言われます。

「Power to Gas(パワートゥガス)」の設備自体のコストが高く、そのため作られた水素も高価なものになってしまっています。

しかし、これは、技術革新で克服することが可能だと思います。


【水素の需要】パワートゥガスの課題は?

ベルリン@対話工房:エネルギー選択宣言、4章

水素は、水素自動車や燃料電池車の燃料として使うことができます。あるいは、住宅用の燃料電池にも使うことができます。パワー・トゥ・ガスが普及するには、水素の需要が十分になければなりません。水素自動車や燃料電池が普及して水素の需要が増えないことには、この貯蔵技術は拡大しません。そのためには、水素スタンドも必要になります。

さらに、「Power to Gas(パワートゥガス)」で作られる水素の使い道が限られていることも課題の一つです。

水素自動車、燃料電池など使える用途は増えているのですが、これらが普及しているとは言い難いです。 「Power to Gas(パワートゥガス)」で作られた水素の需要が増えることが必要です。


今回の放送のまとめ

「Power to Gas(パワートゥガス)」で積極的に再生可能エネルギーの活用を。


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